お子さまの口臭はまずご相談から

近年、「こどもの口臭が気になる」という相談をされる親御さまが増えています。口臭への対策は、成人している人とお子さまでは異なるので、当院に相談していただくことは非常に有効です。
間違った知識で不適切な対策をすることなく、お子さまの状態に合った対策ができるからです。
また、お子さまのメンタルも傷つけないように配慮することも非常に重要です。
お子さまの口臭が生まれる理由

乳幼児の多くは自分自身の口臭を気にすることは少ないので、親御さまが気になって相談される場合がほとんどです。その中の多くは、朝起きたときなどに起こりがちな「生理的口臭」で、この場合は歯磨きなどでおさまります。成人している人なら内臓に起因する口臭も多いですが、お子さまの場合はまれで、ほとんどはお口の中に原因があります。
お口の中には数百種類の菌が生息しており、中には口臭の要因となる種類があるのです。
嫌気性菌と「口呼吸」
お口の中に嫌気性の菌が増えると、口臭がきつくなる傾向が見られます。嫌気性の菌は酸素を嫌がるので、歯と歯ぐきの間や、歯の根などの酸素が少ない場所で増殖します。そのため、歯周病が進行している場合や、虫歯で神経が侵食されて膿が溜まった場合などに口臭はきつくなるのです。
また、近年はお口の筋肉が十分に発達しないことで口呼吸になるお子さまが増えています。口呼吸を日常的に行っていると、口が開いているため周囲の人が口臭を感じやすいですし、口臭の原因も増えます。
幼児期の原因別の口臭ケア
1口呼吸が原因の場合

子どものころに口で呼吸することが常態化していると、唾液も蒸発しやすいのでお口の中が乾燥した状態になりがちです。唾液には菌の増殖を抑える作用があるので、お口の中が唾液で潤っていれば、細菌の繁殖を抑えてお口の清潔を保ってくれます。
しかし、口呼吸によって唾液が乾燥してしまうと、唾液の作用も働きにくくなるので細菌が増えて口臭もきつくなっていくのです。
あいうべ体操を試してみましょう

「あいうべ体操」はいつでも気軽に実施できるお口の健康増進法です。毎日30回程度の「あいうべ体操」を行うことで、お口の周辺や舌を動かす筋肉が適切に発達し、口が閉じやすくなるので口呼吸を解消しやすくなります。
口呼吸を解消するとアレルギー性鼻炎などの疾患を解消しやすいですし、ほかにも多数の健康的なメリットがあります。そのため、ぜひ「あいうべ体操」を実践して、お口の健康や身体の健康を高めていきましょう。
お子さまの食べ方に注意
近年は食生活の変化によって固い食べ物が減り、口呼吸が増える一因となっています。固いものを食べれば自然と噛む回数が増えるため、口の筋肉が適正に発達します。
一方、最近は食品加工技術が発達して柔らかい食べ物が増えましたし、きゅうりやリンゴなどを切らずに食べることも減りました。そのため現代人は、意識的に噛む動作を行う必要があります。できればひと口何かを食べるごとに15~30回噛むことを意識しましょう。
噛む回数が増えると唾液の分泌も増えるので消化吸収も良くなります。
2お口の中の汚れが原因の場合

お口の中に細菌が多いと口臭も増加し、虫歯で神経が侵食されている場合も口臭が強くなります。
この場合、歯科医院で定期的にプロケアを受けることや、日々のセルフケアをスキルアップすることをおすすめします。
親子で協力してしっかりと歯磨きを

口臭を解消するための基本となるのは毎日の歯磨きです。とはいえ、実は歯科医師や歯科衛生士でも、自分自身の歯を完璧に磨くことはなかなかできません。
それを踏まえれば、お子さまに磨き残しが多いのは当然のことですから、ぜひ親御さまが毎日仕上げ磨きをしてあげてください。また、3ヶ月に1回程度当院で歯磨き指導を受ければ、お子さまや親御さまのスキルはどんどん上がっていきます。
汚れが溜まりやすいのは歯並びのせい?

小児期の虫歯を予防するには、お口の中で歯垢(プラーク)が増えないように日々セルフケアをすることが重要です。
しかし、歯並びが悪いと歯と歯が重なる部分があることなどで歯ブラシが当たりにくい場所ができ、どうしても磨き残しが多くなります。
当院では矯正治療も行っていますので、歯並びが気になっている人はぜひご相談ください。
3舌の汚れが原因の場合

舌には「舌乳頭」と呼ばれる、味を感じるための微小な突起物が無数にあります。セルフケアが不足して磨き残しがある場合や、唾液が不足している場合などは舌乳頭に汚れが付着し、口臭の原因となります。
舌にもブラッシング

舌の汚れを落とすために舌専用のブラシが販売されていますが、普通の歯ブラシでも掃除はできます。
ただし、歯磨き剤はきれいに落としてから使用してください。舌の汚れを落とす際には、舌の奥側から手前側に、やさしくゆるやかに、掻き出すようにブラシを当ててください。力が強いと味を感じるための器官が傷つきますので、ソフトに磨くことが重要です。
4その他の原因

喉や鼻のほか、胃腸などの内臓に疾患がある場合にも口臭がきつくなることがあります。また、お子さまの場合、「口臭が気になるが虫歯などのお口のトラブルが見られない」ということもあります。そんな時は鼻の疾患に起因しているかもしれません。
アレルギー性鼻炎や蓄膿、喘息やアデノイド肥大などがある場合、鼻がつまって口呼吸となり口臭につながる例もみられます。
体の内側からの改善を目指します

口臭が内臓から来ている場合、腸内環境が悪化していることが考えられます。そんな時は善玉菌を増やして腸内環境をよくすることが重要です。
お口がポカンとしていませんか?

お口が開きっぱなしになっているお子さまは、
- 間違った呼吸法(口呼吸)を定着させてしまう→これにより、血中酸素濃度が低下し、頭痛・めまいが起きることがある
- 顔の筋肉がたるむ、ゆるむ→これにより、睡眠時無呼吸症候群のリスクが高くなる
- 歯並びの悪化
- 虫歯・歯肉炎のリスクが高くなる
- のどが乾燥し、空気が直接のどに当たるため風邪にかかりやすくなる。また、アレルギーや鼻炎も悪化させることがある
などのリスクがあるので、お口を開けたままにすることを習慣化させる前に早い段階で改めましょう。